窒化ホウ素による熱伝導性の向上
窒化ホウ素(BN)は、電子デバイスに使用される高分子サーマルマネジメント材料の電気絶縁性を維持しながら熱伝導性を改善するための最も魅力的なフィラーの1つです。 窒化ホウ素(BN) を含有したサーマルマネジメント材料は、熱伝導性、電気絶縁性、低熱膨張係数、低密度という課題にマッチしています。 しかし、層状BN結晶構造における熱伝導の異方性により、鱗片結晶形状のBNをサーマルフィラーとして充填したサーマルマネジメント材料は、多くの場合、面内方向よりも面貫通方向の熱伝導率が1桁低いという異方的な熱性能を有しています。 ポリマーサーマルマネジメント材料の同じ負荷で、鱗片結晶BN粒子は、鱗片結晶の配向と一致しない方向に熱伝導チャネルを形成する効率に欠けています。
下図に示すように、凝集体を構成するランダムに配向したBN鱗片結晶は、あらゆる方向により効率的な熱伝導チャネルを形成し、サーマルマネジメント材料の高い等方性熱性能を可能にします。
モメンティブ・テクノロジーズ(MT)は、サーマルマネジメントにおける様々なニーズに対応する高品質BN粉末の豊富なラインナップを取り揃えています。 MTは、様々なサイズの高品質BN 標準パウダーに加え、様々な粒子サイズ、形状、表面積等を有する高熱性能BN 凝集パウダーグレードを提供し、サーマルマネジメント材料、特に今日の電子機器、電子車両、高周波通信アプリケーションで望まれる高熱伝導性と良好な電気絶縁性を有するTIM 材料の高等方性熱性能を可能にします。
MT の高性能凝集BN パウダーポートフォリオにおいて、 PTX シリーズは、その球状凝集の形状 により、充填複合材料において最高の等方性熱性能を達成することができます。 以下の例の様に、 球状凝集BN パウダーPTX60 と標準BN パウダーPT110 の同程度の粒子径での熱性能比較では、PT110 がコンパウンド工程で非常に異方的な熱性能を示すのに対し、PTX60 は面内方向および面貫通方向の両方で同程度の優れた熱伝導性を示します。従ってPTX60 のような球状凝集 BN パウダーは、 最高の等方性熱性能を必要とするサーマルマネジメント材料設計の最良の選択肢となっています。